デジタルフォレンジックガイド
公開:2026.08.28 05:43 | 更新: 2026.08.28 08:45
企業において「情報漏洩が疑われる事態」が発生した際、重要となるのは、推測だけで判断せず、客観的な事実を確認することです。実際に情報が外部へ流出したのか、どのデータが対象となった可能性があるのか、どのような経路で、どの程度影響が広がっているのかを確認するプロセスが情報漏洩調査です。
調査によって「確認できたこと」と「現時点では確認できないこと」を整理することで、被害拡大の防止だけでなく、経営判断、顧客・取引先への説明、法令上の対応、再発防止策の検討につなげることができます。
INDEX
情報漏洩の疑いが生じた際、初動の遅れや曖昧な状況把握は、その後の対応を難しくする可能性があります。情報漏洩調査では、限られた情報から早急に結論を出すのではなく、端末やサーバー、ネットワーク、クラウドなどに残されたログやデジタル上の痕跡を確認しながら、事実関係を整理していくことが重要です。

情報セキュリティの現場では、「情報が漏洩した可能性がある」という段階で対応を迫られるケースも少なくありません。
例えば、重要なファイルへの不審なアクセスが確認されたとしても、ファイルが閲覧されたことと、実際に外部へ送信されたことは同じではありません。また、クラウド上で一時的に外部公開された場合でも、第三者から実際にアクセスされたかどうかを確認できない場合があります。
そのため、アクセスログ、認証履歴、通信ログ、端末上の操作痕跡など複数の情報を組み合わせ、「実際に何が確認できるのか」を整理します。
調査を行った場合でも、ログの保存期間やデータの上書き状況などによって、漏洩の有無を完全には判断できないケースがあります。重要なのは、無理に結論を出すのではなく、確認できた事実と確認できなかった事項を明確に分けることです。
情報漏洩の可能性を認識しながら事実確認を進めない場合、被害拡大の防止や関係者への適切な説明が遅れる可能性があります。
また、時間の経過によってログが上書きされたり、端末上の痕跡が失われたりすると、後から調査を開始しても必要な情報を確認できない場合があります。
情報漏洩が発生した際には、事故そのものだけでなく、その後の企業の対応も顧客や取引先から評価されます。
東京商工リサーチの調査によると、2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は189件で、2012年の調査開始以降、過去最多となりました。同調査には「漏えいの可能性がある」ケースや紛失事故なども含まれており、情報セキュリティ上の事故が企業経営にとって身近なリスクとなっていることが分かります。
情報漏洩の可能性を把握しながら十分な調査や対応を行っていなかった場合、その後に被害が判明すると、セキュリティ対策だけでなく、企業のガバナンスや危機管理体制そのものが問われる可能性があります。
同じ東京商工リサーチの調査では、2024年に公表された個人情報の漏えい・紛失人数は合計1,586万5,611人分に達しています。ただし、この数字も「漏えいの可能性がある」情報などを含む集計であり、すべてについて外部流出が確認されたことを意味するものではありません。
大規模事例の一つとして、2024年には東京ガス子会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)のネットワークへの不正アクセスにより、約416万人分の顧客情報などについて流出の可能性が公表されました。東京ガスは公表時点で、外部への情報流出を示す痕跡や不正利用の事実は確認されていないとしており、「対象となった可能性のある情報」と「実際に流出が確認された情報」を区別する重要性が分かる事例でもあります。
情報漏洩を伴うインシデントでは、システム停止や復旧、調査、問い合わせ対応、再発防止などにコストが発生するだけでなく、サービス停止や顧客離脱など、事業継続へ影響する可能性もあります。
個人情報保護法では、一定の要件に該当する個人データの漏えい等、またはそのおそれが発生した場合、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります。
民間事業者の場合、主に以下のような事態が対象です。
このため、不正アクセスや内部不正などが原因となる場合には、人数が1,000人以下であっても報告対象となる可能性があります。
報告対象となる場合、個人情報保護委員会は、速報について発覚から概ね3~5日以内を目安として速やかに行い、その後、原則として発覚から30日以内に確報を行うよう示しています。不正の目的で行われたおそれがある事案については、確報の期限が60日以内となります。
つまり、すべての事案について「確報は60日以内」というわけではありません。適切な法令対応を判断するためにも、漏洩の原因、対象となった情報、影響範囲などについて早期に事実関係を整理することが重要です。
情報漏洩の原因は、不正アクセスなどの外部からのサイバー攻撃だけではありません。従業員による内部不正、メールの誤送信、クラウドサービスの設定ミス、端末・記録媒体の紛失など、さまざまな経路から発生する可能性があります。

サイバー攻撃による情報漏洩では、外部から侵入した攻撃者が認証情報や脆弱性などを悪用し、企業が保有する重要なデータへアクセスします。
東京商工リサーチが集計した2024年の上場企業・子会社における個人情報漏えい・紛失事故189件のうち、「ウイルス感染・不正アクセス」は114件、60.3%を占め、原因別で最多でした。
メールの添付ファイルや不審なWebサイト、侵害された外部公開システムなどを起点として端末やサーバーがマルウェアに感染し、攻撃者によって内部情報へアクセスされるケースがあります。
ランサムウェアでは、ファイルを暗号化して業務を妨害するだけでなく、暗号化前にデータを窃取し、「支払いに応じなければ情報を公開する」などと脅迫する手口もみられます。
なお、2025年10月1日以降、ランサムウェア事案による個人データの漏えい等またはそのおそれが発生した場合には、政府関係機関の共通様式を利用して報告することが可能になっています。
標的型メールなどを利用して認証情報を窃取したり、窃取・漏洩したIDやパスワードを用いてクラウドサービス、VPN、サーバーなどへ不正にアクセスしたりする手口です。
正規ユーザーの認証情報が悪用される場合、通常のログインとの区別が難しいケースもあります。
そのため、アクセス元IPアドレス、利用端末、認証時刻、MFAの利用状況、その後に行われたファイル操作やデータ取得など、複数の情報を関連付けて調査することが重要です。
インターネット上に公開しているWebサイト、VPN機器、サーバー、各種ソフトウェアなどに存在する脆弱性を悪用し、不正な操作やプログラムの実行を行う攻撃です。
侵入後にWebサーバーやデータベースなどへアクセスされ、情報が取得・外部送信される可能性があります。
脆弱性の存在だけで情報漏洩を断定することはできないため、アクセスログ、操作履歴、通信状況などを確認し、実際に悪用された痕跡があるかを調査します。
情報漏洩は、外部からの攻撃だけでなく、従業員による不正行為や操作ミスなど、組織内部の要因によっても発生します。
従業員や退職予定者などが、顧客情報や営業秘密、設計データなどをUSBメモリにコピーしたり、個人のクラウドストレージやメールアドレスへ送信したりするケースです。
内部不正が疑われる場合には、USB機器の接続履歴、ファイル操作履歴、メール送信履歴、クラウドサービスへのアップロード履歴などが調査対象となります。
ただし、対象者へ不用意に事実確認を行うことで関連データが削除される可能性もあるため、法務・人事などと連携しながら調査の進め方を検討することが重要です。
メールの宛先間違いや、本来Bccで送信すべき宛先をTo・Ccで一斉送信してしまうといった誤操作も情報漏洩につながります。
また、クラウドストレージの共有範囲を誤って「一般公開」に設定した場合など、設定ミスによって第三者がデータへアクセスできる状態になるケースもあります。
この場合、「公開されていた」という事実だけでなく、公開期間、外部からのアクセス履歴、ダウンロード状況などを確認することで、実際の影響範囲を評価します。
業務用のノートPCやスマートフォン、USBメモリ、外付けストレージなどを紛失・盗難された場合も、情報漏洩につながる可能性があります。
ただし、端末を紛失したことと、保存されている情報が実際に第三者へ漏洩したことは同じではありません。
端末の暗号化状況、認証方式、リモートロック・ワイプの実施状況、クラウドサービスへのアクセス履歴などを確認し、情報へ不正にアクセスされた可能性を評価することが重要です。
情報漏洩調査で確認される主なログ・痕跡
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| 疑われる事象 | 主な確認対象 | 確認できる可能性があること |
|---|---|---|
| 不正アクセス | 認証ログ、VPNログ、クラウドサインイン履歴、サーバー・端末ログなど | 不審なログインの有無や接続元、侵害された可能性のあるアカウント、アクセスされたシステムなど |
| マルウェア・ランサムウェア | EDR、イベントログ、プロセス実行履歴、ネットワーク通信ログなど | マルウェアの実行状況、感染した可能性のある端末、外部通信、ファイル操作などの活動痕跡 |
| 内部不正・情報持ち出し | ファイル操作履歴、USB接続履歴、メール送信履歴、クラウド利用履歴など | 重要ファイルへのアクセスやコピー、外部媒体への保存、メール・クラウドを利用した持ち出しの痕跡 |
| メール誤送信 | メール送信履歴、宛先、添付ファイル、メールサーバー・サービスのログなど | いつ、誰から誰へ、どの情報が送信されたのか、対象となった宛先や添付データ |
| クラウドの設定ミス | 監査ログ、共有設定、アクセス権変更履歴、ファイルアクセス・ダウンロード履歴など | 外部公開されていた期間や範囲、第三者によるアクセス・ダウンロードが確認できるか |
| PC・記録媒体の紛失・盗難 | 端末の暗号化状況、認証設定、クラウドアクセス履歴、リモート管理情報など | 保存情報の内容や保護状況、紛失後に第三者からアクセスされた可能性があるか |
※実際に確認できる情報は、利用している製品・サービス、ログの取得設定や保存期間、端末の状態などによって異なります。また、特定のログが存在しないことだけをもって「情報漏洩していない」と判断できるとは限りません。
情報漏洩の疑いが生じた際に行う調査では、ただ大量のログやデータを集めるのではなく、「何を明らかにするための調査なのか」を整理してから進めることが重要です。
最初に確認したいのは、実際に外部へ情報が流出したことを示す痕跡があるのかという点です。
例えば、重要ファイルへのアクセスだけが確認されているのか、大量のファイルがダウンロードされているのか、外部への通信やクラウドへのアップロードまで確認されているのかによって、評価は異なります。
同時に、不正アクセス、マルウェア感染、内部不正、設定不備、誤操作など、漏洩につながった可能性のある原因を確認します。
調査によって必ず漏洩の有無を断定できるとは限らないため、「漏洩を確認した」「漏洩の可能性がある」「現存するデータからは確認できない」といった確認レベルを整理することが重要です。
インシデント発生前後のログや端末上の痕跡を時系列で整理し、情報へアクセスされた日時、操作を行ったアカウントや端末、データが移動した経路などを確認します。
例えば、
「外部からVPNへ不正ログイン → ファイルサーバーへアクセス → 大量のファイルを取得 → 外部サービスへ送信」
といった一連の流れを、複数のログや痕跡から確認していきます。
ただし、すべての案件で最終的な送信先や攻撃者まで特定できるわけではありません。残存している証拠から確認できる範囲を時系列で整理することが重要です。
個人情報保護委員会への報告や本人通知、顧客・取引先への説明などを検討するうえで、対象となった情報の範囲を確認することは重要です。
例えば、
など、対象となった可能性のある情報の種類を整理します。
さらに、アクセス・取得された可能性のあるファイルやデータベースを確認し、対象人数や件数、対象者を可能な範囲で特定します。
情報が実際に外部へ流出した場合、その情報がフィッシング、不正ログイン、なりすまし、恐喝などに悪用される可能性があります。
特にID・パスワードなどの認証情報が流出している場合には、同一・類似の認証情報がほかのシステムでも利用されていないか確認し、パスワード変更やセッション無効化などの対応を検討します。
また、必要に応じてダークウェブや犯罪フォーラムなどで自社に関係する情報が流通していないか確認することで、二次被害の可能性を評価する方法もあります。
情報漏洩が発覚した、またはその可能性が確認された場合には、被害拡大防止と事実確認を並行して進める必要があります。
実際の対応順序はインシデントによって異なりますが、一般的には以下のような流れで進めます。

システムアラート、従業員からの報告、顧客・取引先からの連絡、外部機関からの指摘などによって情報漏洩の可能性が確認される段階です。
まず、「いつ」「誰が」「どのシステムで」「どのような事象を確認したのか」を記録します。
この段階では情報が不足していることも多いため、早期に「漏洩した」と断定するのではなく、確認されている事実と推測を区別して整理します。
現在も不正アクセスやマルウェア感染が継続している可能性がある場合には、状況に応じて対象端末・システムのネットワーク隔離や、侵害が疑われるアカウントの一時停止、既存セッションの無効化などを検討します。
ただし、初動対応はすべてのインシデントで一律ではありません。
対象端末の電源を切ることでメモリ上の揮発性情報が失われる場合もあるため、不要な操作を避け、自社のインシデント対応手順や専門家の助言に基づいて判断することが重要です。
被害拡大防止と並行して、調査に必要となる端末データやログを保全します。
端末の再起動、初期化、不審なファイルの削除、セキュリティソフトによる駆除などの操作によって、調査に必要なデータの状態が変化する可能性があります。
また、シャットダウンによって主に失われる可能性があるのは、実行中のプロセスや通信状態などメモリ上の揮発性情報です。すべてのログが電源断によって消えるわけではありませんが、必要以上の操作を避けながら適切な方法で保全します。
インシデントの規模や対象となる情報に応じて、社内外の関係者への報告・連絡を進めます。
情報セキュリティ部門だけで対応を抱え込まず、必要に応じて経営層、法務、広報、人事、総務などへ情報を共有します。
この段階でも、「確認された事実」「確認中の事項」「今後確認する事項」を分けて伝えることで、推測を事実として扱うことを防げます。
漏えい等した、または漏えい等したおそれのある個人データが報告対象事態に該当する場合には、個人情報保護委員会への報告が必要です。
対象となる主なケースは、要配慮個人情報を含む場合、不正利用により財産的被害のおそれがある場合、不正目的による行為が原因となる場合、対象者が1,000人を超える場合などです。
報告対象となる場合には、発覚後速やかに速報を行い、目安として概ね3~5日以内、その後は原則30日以内、不正目的による事案では60日以内に確報を行います。
報告期限までにすべての調査が完了している必要があるわけではなく、速報ではその時点で把握している内容を報告し、その後の調査によって判明した事項を確報等へ反映していきます。
個人情報保護委員会への報告が必要となる主なケース
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| 報告対象となる事態 | 概要 | 想定される例 |
|---|---|---|
| 要配慮個人情報を含む | 要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい等、またはそのおそれがある場合 | 病歴、健康診断結果、犯罪経歴などを含む個人データの漏えい等 |
| 財産的被害のおそれがある | 不正利用されることで、本人に財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等の場合 | 不正利用につながる可能性のある決済情報などの漏えい等 |
| 不正目的による行為 | 不正の目的をもって行われたおそれがある行為による個人データの漏えい等の場合 | 不正アクセス、内部不正による持ち出しなど |
| 本人が1,000人を超える | 漏えい等した、または漏えい等したおそれがある個人データに係る本人の数が1,000人を超える場合 | 設定ミスによる大量の個人データ公開、メールアドレスの一斉誤送信など |
※上記は民間事業者における主な報告対象です。実際の報告義務の有無は、漏えい等した情報の内容や発生状況などを踏まえて判断する必要があります。報告対象となる場合、速報は発覚後速やかに(概ね3~5日以内)、確報は原則30日以内、不正目的による事案では60日以内とされています。
個人情報保護法上の報告対象事態に該当する場合には、原則として本人への通知も必要です。
通知では、事案の概要、漏えい等した個人データの項目、原因などについて、本人に分かりやすい形で伝えます。
本人への通知が困難な場合には、事案の公表や問い合わせ窓口の設置など、本人の権利利益を保護するために必要な代替措置を講じることも認められています。
事案によっては、問い合わせ窓口の設置、顧客・取引先への説明、二次被害を防止するための注意喚起なども検討します。
調査によって確認された漏洩経路、技術的・組織的な原因、初動対応上の課題などを整理し、具体的な再発防止策を策定します。
なお、個人情報漏えい等が発生したからといって、すべての事案で一般への公表が法律上義務付けられているわけではありません。本人通知の代替措置として公表する場合などを除き、事案の内容、二次被害防止の必要性、関係法令・業界ルール等を踏まえて公表の必要性を判断します。
情報漏洩の可能性があり、お困りの方へ
「実際に漏洩したか分からない」段階でもご相談いただけます
不審なアクセスやデータの持ち出し、メール誤送信などが確認されても、実際に情報が外部へ流出したのか判断できないケースがあります。調査に必要なログや痕跡が失われる前に、現在確認できている事象から調査の必要性や進め方をご相談いただけます。
現在の状況を相談するデジタルフォレンジックとは、PCやサーバーなどのデジタル機器や各種ログに残されたデータを収集・保全・解析し、インシデントに関する事実関係を確認する技術・調査手法です。
デジタル証拠は容易に変更される可能性があるため、取得したデータの完全性や取扱履歴に配慮しながら調査することが重要です。ISO/IEC 27037でも、デジタル証拠となり得るデータの識別・収集・取得・保全についてガイドラインが示されています。
ただし、フォレンジック調査を実施したというだけで、調査結果の裁判上の証拠能力や法的有効性が自動的に保証されるものではありません。法的手続きでの利用を想定している場合には、必要に応じて弁護士などとも連携しながら調査方法や成果物を検討することが重要です。
フォレンジック調査では、通常の画面操作だけでは確認しにくい端末上の操作履歴やログ、通信などを解析し、情報漏洩につながった可能性のある事象を確認します。
不審な動作が確認されたPCやサーバーについて、ストレージや各種ログ、必要に応じてメモリ上の情報などを調査します。
例えば、マルウェアの実行履歴、不審なプログラム、ファイル操作、外部デバイスの接続履歴、ユーザーの操作などを確認し、インシデント発生前後に何が行われた可能性があるのかを整理します。
ファイアウォールやプロキシ、Active Directoryなどの認証基盤、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのクラウドサービスに残されたログを関連付けて確認します。
不審なIPアドレスからのアクセス、通常とは異なる認証、大量のデータ取得、権限変更、外部への通信などを時系列で整理することで、侵入経路や情報漏洩の可能性を調査します。
攻撃者や内部不正を行った人物によって、関連ファイルやログが削除されている場合もあります。
フォレンジック調査では、ファイルシステム上に残された情報や各種アーティファクトなどを確認し、削除されたファイルの復元や過去の操作痕跡の確認を試みる場合があります。
ただし、削除されたデータを必ず復元できるわけではありません。記憶媒体の種類、削除後の利用状況、データの上書き状態などによって復元可能性は異なります。
フォレンジック調査を専門会社へ依頼する場合、調査の内容やインシデントの状況によって異なりますが、一般的には以下のような流れで進めます。
現在確認されている事象、不審な挙動を確認した日時、対象となるPC・サーバー・各種サービス、調査によって確認したい事項などを整理します。
この情報をもとに、どの端末・ログを対象とし、何を明らかにするための調査なのかを決めます。
調査対象となるPCやサーバー、ログなどから必要なデータを取得・保全します。
物理ストレージでは、書き込み防止装置などを使用して元データへの変更を極力避けながら、フォレンジックイメージを取得する方法が用いられる場合があります。
一方、クラウドサービスやネットワークログなどは保全方法が異なるため、すべての調査でストレージの完全複製を行うわけではありません。調査対象と目的に応じた方法でデータを取得・保全します。
取得データのハッシュ値や取扱履歴を記録することで、データの完全性を確認できる状態を維持することも重要です。
保全したデータやログを解析し、マルウェアの活動、認証、ファイル操作、USB接続、ネットワーク通信などの情報を時系列で関連付けます。
情報漏洩調査では、
「どのアカウントが」
「どの端末から」
「どの情報へアクセスし」
「どのような操作を行い」
「外部へ送信された可能性があるのか」
といった観点から事実関係を整理します。
ただし、取得できるログやデータの状態によっては、すべてを明らかにできない場合もあります。
調査によって確認された内容を整理し、調査報告書を作成します。
報告書には、調査対象、調査方法、確認された事実、インシデントの時系列、原因や影響範囲について確認できた内容などが記載されます。
また、データ不足などによって確認できなかった事項についても明示されていることで、経営層・法務・監査・取引先などへの説明資料として活用しやすくなります。
警察への相談や法的手続きなどで調査結果を利用する予定がある場合には、報告書の作成だけで裁判上の証拠能力が自動的に保証されるものではないため、事前に利用目的を調査会社や弁護士などへ共有しておくことが重要です。
情報漏洩・フォレンジック調査をご検討中の方へ
漏洩の有無・原因・影響範囲を、デジタル上の痕跡から調査します
不正アクセスやマルウェア感染、内部不正などによる情報漏洩が疑われる場合、端末や各種ログに残された痕跡を解析し、原因や影響範囲を確認します。調査対象や確認したい事項が決まっていない場合でも、現在の状況を伺いながら必要な調査内容をご案内します。
情報漏洩調査について相談する情報漏洩の原因や影響範囲を自社だけでは判断できない場合には、フォレンジック調査などの専門会社への相談を検討します。
ただし、すべての情報漏洩調査で外部委託が必要というわけではありません。自社で保有しているログや対応体制、インシデントの規模、必要となる調査の専門性などを踏まえて判断します。
自社で利用しているOS、サーバー、クラウドサービス、セキュリティ製品などに対応できるかを確認します。
また、不正アクセス、ランサムウェア、内部不正、情報持ち出しなど、自社で発生している事象と同種・類似の調査経験があるかも確認ポイントとなります。
クラウドサービスでは取得できるログや調査方法がサービスごとに異なるため、利用している環境を問い合わせ時に具体的に伝えましょう。
ログやデジタル上の痕跡は、時間の経過や端末・システムの利用によって失われる可能性があります。
そのため、単に「24時間365日受付か」という点だけではなく、
といった点を確認します。
緊急性が高い場合には、すべての情報を整理してから問い合わせるのではなく、現在確認できている事象だけでも早めに相談することが重要です。
フォレンジック調査の費用は、対象となる端末・サーバーの台数、データ容量、対象期間、ログの種類、解析内容などによって異なります。
見積もりでは、
などを確認します。
単純に見積金額だけを比較するのではなく、調査範囲と成果物を含めて比較することが重要です。
情報漏洩リスクを完全にゼロにすることは困難です。
そのため、インシデントそのものを防ぐ「予防対策」に加えて、万一発生した際に早期に検知し、必要なデータを確保して迅速に調査できる体制を平時から整えておくことが重要です。
インシデントの発生可能性を低減するとともに、発生した場合に早期に異常を検知し、調査へつなげられる環境を整備します。
ファイアウォール、WAF、IDS/IPS、EDRなど、自社のシステム構成やリスクに応じたセキュリティ対策を組み合わせます。
導入するだけでなく、検知ルール、アラート通知先、ログ保存設定などを定期的に確認し、実際のインシデント発生時に情報を確認できる状態にしておくことが重要です。
認証情報の悪用による不正アクセスを防ぐため、パスワードの使い回しを避け、十分な長さを持つ固有のパスワードを利用します。
また、特に管理者アカウント、VPN、クラウドサービスなど外部からアクセス可能な重要システムでは、多要素認証(MFA)の導入・適用を検討します。
不要となったアカウントの削除、権限の定期的な見直し、管理者権限の最小化なども重要です。
情報漏洩調査では、端末、認証基盤、ネットワーク、クラウドサービスなどに残されたログが重要な判断材料となります。
ただし、すべての企業について「最低1年間保存することが推奨される」という一律の基準があるわけではありません。
自社のリスク、利用しているシステム、法令・業界ガイドライン・契約上の要件、想定する調査期間などを踏まえて適切なログ保存期間を設定します。
また、重要なログについては集中管理やバックアップ、アクセス制御、時刻同期などを行い、インシデント発生時に必要な期間の情報をすぐ確認できる環境を整えておくことが重要です。
クラウド環境についても、監査ログが取得されているか、契約プランによって必要なログが取得・保持できるか、公開設定やアクセス権に問題がないかを平時から確認しておきましょう。

技術的な対策だけでは、メールの誤送信、内部不正、情報の不適切な持ち出しなどを完全に防ぐことはできません。
情報を扱うルールと、インシデントが発生した際の対応体制を組織として整備する必要があります。
自社が扱う情報について重要度や機密性に応じた管理方法を定めます。
例えば、
などについてルールを明確化します。
ルールを定めるだけではなく、実際の業務フローと乖離していないか定期的に見直すことも重要です。
フィッシングメール、不審なリンクや添付ファイル、パスワードの使い回し、情報の持ち出し、メール誤送信など、日常業務で発生しやすいリスクについて定期的な教育を行います。
標的型攻撃メール訓練などを活用し、知識だけでなく「不審な事象を発見した際に、誰へどのように報告するのか」まで実践できる状態を目指します。
また、誤操作などを起こした従業員が報告をためらうことでインシデントの発見が遅れる可能性もあります。早期報告を促す仕組みや組織文化を整えることも重要です。
情報漏洩が疑われた際に、
といった役割と判断基準をあらかじめ定めておきます。
連絡先をまとめただけのマニュアルではなく、実際のインシデントを想定した机上演習などを実施し、手順が機能するか確認しておくことも有効です。
情報漏洩を防ぐための対策と同時に重要なのが、**「万一インシデントが発生した際に、調査できる状態を平時から作っておくこと」**です。
インシデント発生後に初めてログの保存設定を確認した結果、「必要な時期のデータがすでに残っていない」という状況では、原因や被害範囲を確認できない可能性があります。
そのため、必要なログや端末上のデータをどのように確保するか、調査が必要になった際に外部専門家へどのように提供するかまで含めた**フォレンジック・レディネス(調査に備えた体制)**を整えておくことが重要です。
セキュアイノベーションの「フォレンジック・スナッパー」は、インシデント発生前から初動調査に必要なデータを自動的に収集・保全し、平時から「解析可能な状態」を維持するためのサービスです。専門的なフォレンジック知識や高額な専用機器に依存せず、インシデント発生時の証拠保全や調査開始を迅速化する「証拠保全インフラ」として提供しています。
インシデント発生後の調査に備える「フォレンジック・スナッパー」
平時から解析に必要なデータを収集・保全し、万一のインシデント発生時に迅速な調査へつなげるためのサービスです。「必要なログが残っていない」「証拠保全の方法が分からない」といった課題への備えとしてご活用いただけます。
フォレンジック・スナッパーの詳細を見る →企業が扱うシステムやデータが複雑化する中、情報漏洩のリスクを完全になくすことは困難です。
重要なのは、情報漏洩の可能性が確認された際に推測だけで判断せず、ログやデジタル上の痕跡から、**「実際に漏洩したのか」「何が対象になったのか」「どのような経路で発生したのか」「どこまで影響しているのか」**を可能な範囲で確認することです。
また、調査を行えば必ずすべてを明らかにできるわけではありません。ログの保存期間や端末の状態によっては確認できない事項もあるため、「確認できた事実」と「確認できなかった事項」を分けて整理することが、その後の経営判断や法務・広報対応、顧客・取引先への説明において重要になります。
平時からログ管理、アクセス制御、従業員教育、インシデント対応手順などを整備するとともに、万一の際に調査に必要なデータを確保できる体制を準備しておきましょう。
自社だけでは漏洩の有無や原因、影響範囲を判断できない場合には、必要なログや痕跡が失われる前に、フォレンジック調査などの専門家へ早めに相談することも重要です。
情報漏洩調査・フォレンジックのご相談
原因や被害範囲が分からない段階でも、まずは現在の状況をお聞かせください
情報漏洩、不正アクセス、ランサムウェア、内部不正など、インシデントによって確認すべき端末やログ、調査範囲は異なります。自社だけでは漏洩の有無や原因、影響範囲を判断できない場合には、現在確認できている事象からご相談ください。
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