デジタルフォレンジックガイド
公開:2026.08.27 05:36 | 更新: 2026.08.27 12:48
企業が不正アクセスやランサムウェアなどのサイバー攻撃、あるいは従業員による情報持ち出しといったインシデントに見舞われた際、原因や被害範囲、事実関係を客観的に確認する手段の一つとして、デジタルフォレンジック調査が活用されます。しかし、フォレンジック調査を提供する会社は多岐にわたり、それぞれ得意とする領域や対応範囲、調査体制などが異なります。信頼できる調査会社を迅速に選定し、経営層や監査、外部の関係者に対して調査結果を適切に説明するために、比較しておきたいポイントを解説します。
INDEX
セキュリティインシデントが発生した混乱のなかで、社内のリソースだけで原因究明やデータ解析を行うことが難しいケースがあります。専門のフォレンジック調査会社へ依頼することで、必要なデータを適切に保全しながら、専門的な知見や解析技術を用いて原因や被害範囲を確認し、その後の対応判断に必要な情報を整理できます。
社内の情報システム部門だけで調査を行った場合でも適切な事実確認は可能ですが、監査や法務対応など第三者への説明が必要な事案では、調査手順やデータの取り扱いについて客観性が求められることがあります。
外部のフォレンジック調査会社へ依頼することで、どのデータをどのような方法で取得・保全・解析したのかを記録しながら調査を進めやすくなります。適切な手順で作成された調査報告書は、経営層や監査部門、弁護士、行政機関などへ事実関係を説明する際の資料として活用できます。
ただし、フォレンジック調査を実施したことだけで、裁判上の証拠能力や法的な有効性が自動的に保証されるわけではありません。訴訟などでの利用を想定する場合は、調査会社だけでなく弁護士などの専門家とも連携して進めることが重要です。
高度化するサイバー攻撃や巧妙な内部不正では、通常のログ確認やOS標準機能による調査だけでは、原因や影響範囲を十分に確認できないことがあります。
フォレンジック調査では、端末やサーバー、各種ログなどに残された痕跡を専門的なツールや解析手法を用いて調査します。必要に応じて、削除されたファイルの復元可能性の確認、プログラムの実行履歴、外部通信、ファイル操作などを分析し、不正アクセスの侵入経路や影響を受けた可能性のある端末、情報漏えいの可能性などを整理します。
ただし、保存されているデータやログの状態によっては、すべての原因や操作を特定できるとは限りません。調査会社を選ぶ際には、何をどこまで確認できる可能性があるのかを事前に説明してもらうことも重要です。
デジタルデータは、端末の操作や再起動などによって状態が変化する場合があります。通常のOS操作でもファイルのタイムスタンプやログが更新される可能性があるため、インシデント発生後の取り扱いには注意が必要です。
フォレンジック調査では、必要に応じてストレージのフォレンジックイメージを取得するなど、元のデータへの変更を極力避けながら解析用データを取得します。また、取得したデータのハッシュ値を記録するなど、取得時から解析時までデータの完全性を確認できるようにする方法も利用されます。
物理ストレージ、クラウドサービス、各種ログなど、対象によって適切な保全方法は異なります。そのため、「すべての案件でハードディスクを完全複製する」というわけではなく、対象や目的に合わせた方法でデータを取得・保全することが重要です。
ランサムウェアや不正アクセスなどでは、初動対応の遅れによって被害範囲が拡大する場合があります。そのため、インシデント発生後は、何が起きているのかを把握しながら適切な対応を速やかに判断する必要があります。
フォレンジック調査会社やインシデント対応の専門事業者へ早い段階で相談することで、調査に必要なデータの保全方法や、被害範囲を確認するために必要な情報について助言を受けられます。
ただし、端末の電源断やネットワークからの隔離などは、状況によっては揮発性のデータや調査に必要な情報を失う可能性があります。一律の対応を行うのではなく、自社のインシデント対応手順や専門事業者の指示をもとに判断することが重要です。
フォレンジック調査の依頼先を検討する前に、フォレンジックが対応する領域や他の類似サービスとの役割の違い、さらに価格だけで比較する場合の注意点を把握しておきましょう。
デジタルフォレンジックは、外部からのサイバー攻撃だけでなく、情報漏えいや内部不正など、さまざまな事案の事実確認に利用されます。
ただし、対応できる機器やOS、クラウドサービスなどは調査会社によって異なります。PCやサーバーには対応していても、スマートフォンやタブレット、特定のクラウドサービスなどは対象外となっている場合があるため、依頼前に確認しましょう。
これらのサービスは一部の技術や対応範囲が重なることがありますが、主な目的には違いがあります。
データ復旧は、故障したストレージや誤って削除したファイルなどから、必要なデータを再び利用できる状態に戻すことを主な目的とします。
一方、フォレンジック調査では、端末やログなどに残された痕跡から「いつ、どのような操作が行われたのか」「どの端末やアカウントが影響を受けた可能性があるのか」など、インシデントの原因や事実関係を確認することを目的とします。
インシデント対応(Incident Response)は、原因調査だけでなく、被害拡大の防止、封じ込め、復旧、再発防止などを含む一連の対応を指す場合があります。フォレンジック調査がインシデント対応の一工程として実施されることもあり、サービス提供会社によって両者を一体的に提供しているケースもあります。
データ復旧・フォレンジック調査・インシデント対応の違い
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| 比較項目 | データ復旧 | フォレンジック調査 | インシデント対応 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 消失・破損したデータを復旧する | 原因や操作履歴、被害範囲などの事実関係を確認する | 被害拡大を防ぎ、封じ込め・復旧につなげる |
| 主な対象 | HDD・SSDなどのストレージ | PC・サーバー・各種ログなど | 端末・サーバー・ネットワーク・クラウド環境など |
| 主な作業 | データの読み出し・復元 | データ保全・解析・時系列整理など | 状況把握・封じ込め・復旧・再発防止など |
| 適しているケース | 誤削除や故障などでデータを戻したい | 不正アクセス・情報漏えい・内部不正などの事実を確認したい | サイバー攻撃発生後、被害を抑えながら復旧したい |
| フォレンジックとの関係 | 調査の中で復元技術を利用する場合がある | 原因究明・事実確認を中心に実施する | 対応プロセスの一部としてフォレンジック調査を行う場合がある |
フォレンジック調査会社を選ぶ際、料金は重要な比較ポイントの一つですが、見積金額だけで判断することはおすすめできません。
調査会社によって、見積もりに含まれるデータ保全、解析対象、報告書の内容、オンサイト作業などの範囲が異なる場合があります。一見安価に見える見積もりでも、必要な解析が含まれていなかったり、調査対象の追加に伴って別途費用が発生したりする可能性があります。
また、フォレンジック調査では適切なデータ保全や解析手順が重要です。価格だけではなく、「どのようなデータを保全するのか」「何をどこまで解析するのか」「どのような報告書が提出されるのか」「追加作業が必要になった場合の条件は何か」まで確認して比較することが重要です。
フォレンジック調査会社を選定する際に確認しておきたい主な比較軸を整理します。経営層や社内監査部門などへ「なぜその会社へ依頼するのか」を説明するための判断材料としても活用してください。

まず確認したいのは、自社で発生しているインシデントと同種・類似の調査経験があるかという点です。
ランサムウェア、不正アクセス、情報漏えい、内部不正では、それぞれ確認すべきデータや必要となる解析技術が異なります。また、業種やシステム構成によっても調査環境は変わります。
守秘義務のため具体的な顧客名や案件を公開できない調査会社もあります。そのため、公開されている顧客名の多さだけで判断せず、「類似するインシデントへの対応経験があるか」「どのような対象を調査できるか」「どのような手順で進めるのか」などを相談時に確認することが重要です。
フォレンジック調査の対象は、PCや物理サーバーだけではありません。クラウドサービス、VPN、ファイアウォールなどに残されたログを含めて確認する必要があるケースもあります。
一方、スマートフォンやタブレット、特定のクラウドサービス、OT(制御システム)などは、調査会社によって対応可否が異なります。
「幅広い機器に対応している会社が必ず優れている」と考えるのではなく、自社で実際に調査が必要となるOS、端末、サーバー、クラウドサービス、ネットワーク機器などに対応できるかを確認することが重要です。
インシデント発生直後は、時間の経過や端末の利用継続によって必要なログやデータが失われる場合があります。そのため、相談から初期対応までのスピードも重要な比較ポイントです。
緊急対応が必要な場合には、受付可能な時間帯、休日・夜間の相談可否、オンサイト対応の可否、データ保全を開始できるまでの目安などを確認しましょう。
24時間365日の受付や即日オンサイト対応がすべての企業に必要なわけではありません。自社の事業特性や想定するインシデントに応じて、必要な対応時間や体制を整理して比較することが重要です。
海外拠点を含む調査が想定される場合には、対象国・地域への対応可否や、現地でのデータ取り扱いに関する体制についても確認しておきましょう。
フォレンジック調査では、解析結果をまとめた報告書が重要な成果物となります。
報告書には、調査対象、調査方法、確認された事実、時系列の状況、原因や被害範囲について確認できた内容などが整理されます。経営層や監査、法務などへの説明に利用する場合には、専門用語だけではなく、非技術者でも事実関係を把握できる内容になっているかが重要です。
また、法的手続きなどで利用する可能性がある場合には、どのような方法でデータを取得・保全したのか、取得後のデータの完全性をどのように確認したのかなど、調査手順について記録されているかも確認ポイントとなります。
ただし、調査会社が作成した報告書であるという理由だけで、裁判上の証拠能力が保証されるものではありません。法的利用を予定している場合は、その目的を事前に調査会社へ伝えるとともに、必要に応じて弁護士などとも連携してください。
フォレンジック調査では、自社の機密文書、メール、認証情報、顧客情報、ソースコードなど、機密性の高いデータを調査会社へ預ける可能性があります。そのため、調査技術だけでなく、調査会社自身の情報管理体制も重要です。
ISO/IEC 27001(ISMS)認証やプライバシーマーク(Pマーク)の有無は、情報管理体制を確認する際の参考の一つになります。ただし、認証を取得していることだけで安全性が保証されるわけではありません。
データへのアクセス権限、保管場所、物理的な入退室管理、データの保存期間、調査終了後の返却・削除方法、再委託の有無などを確認しましょう。必要に応じて、秘密保持契約(NDA)の締結についても事前に確認しておくと安心です。
フォレンジック調査の費用は、調査対象の機器や台数、データ容量、調査目的、緊急度などによって異なるため、個別見積もりとなるケースがあります。
比較する際に重要なのは、単純な総額だけではなく、「その金額で何をどこまで調査するのか」が明確になっているかです。
データ保全、解析、報告書、オンサイト作業などが見積もりに含まれているか、また、対象端末やログが追加された場合など、どのような条件で追加費用が発生するのかを確認しましょう。追加作業が必要になった場合の事前承認の方法についても確認しておくと、予算を管理しやすくなります。
フォレンジック調査によって原因や被害範囲を把握した後は、復旧や再発防止に取り組む必要があります。
調査会社によっては、調査結果をもとに再発防止策の提案、セキュリティ監視の見直し、脆弱性診断などの関連支援を提供している場合があります。
ただし、フォレンジック調査に特化した会社と、インシデント対応から再発防止まで幅広く提供する会社のどちらが適しているかは、自社が求める支援範囲によって異なります。「調査結果を受け取った後、どこまで支援してほしいのか」を整理したうえで比較するとよいでしょう。
フォレンジック調査会社をお探しの方へ
調査会社を選ぶ前に、対応できる調査内容を確認しませんか?
フォレンジック調査会社を比較する際は、料金だけでなく、調査対象や対応範囲、報告内容、調査後の支援まで確認することが重要です。セキュアイノベーションのデジタルフォレンジックサービスで対応している調査内容や流れをご確認いただけます。
フォレンジック調査の対応内容を見るインシデントの種類や調査の目的によって、調査会社に求められる技術や体制は異なります。自社の状況に応じて、優先して確認したいポイントを整理します。

不正アクセスやランサムウェア感染では、侵入経路、感染・侵害範囲、不審な操作や通信の有無などを確認する必要があります。
端末だけでなく、サーバー、AD(Active Directory)、VPN、ファイアウォール、クラウドサービスなど複数のログを横断的に分析する必要が生じる場合もあります。そのため、自社のシステム構成に対応できることに加え、複数の情報を時系列に整理して分析できる体制があるかを確認しましょう。
また、緊急性が高い場合には、初期相談やデータ保全をどの程度のスピードで開始できるのかも重要です。必要に応じてマルウェア解析まで対応可能か確認しておくとよいでしょう。
顧客情報や営業秘密などの持ち出しが疑われる場合には、「どの情報が」「どのような手段で」「いつ頃」外部へ持ち出された可能性があるのかを確認できる調査体制が重要です。
対象端末のファイル操作履歴、USB機器の接続履歴、メールやクラウドサービスへのアクセス記録、各種ログなどを調査し、確認できた事実を整理します。
また、情報が実際に社外へ流出している可能性がある場合には、必要に応じて外部への流通状況を調査するサービスと組み合わせられるかも確認ポイントの一つです。
従業員や退職者による不正なデータ持ち出し、ファイル削除、不審な操作などを調査する場合には、PC上の操作履歴やファイルシステム、USB接続履歴、メールなどを確認する技術が重要です。
削除されたデータについても、データの状態によっては復元または痕跡を確認できる場合があります。ただし、SSDの利用状況やデータの上書き状態などによっては復元できないこともあります。
また、デジタルフォレンジックによって確認できるのは、主として端末やログに残されたデジタル上の事実です。「なぜその操作を行ったのか」という本人の意図までデータだけで断定できるとは限りません。確認された操作の時期や内容を整理し、必要に応じて人事・法務によるヒアリングなど他の調査と組み合わせることが重要です。
監査、第三者調査、訴訟などへの発展が想定される場合は、調査内容だけでなく、データ保全や調査手順の記録にも注意する必要があります。
誰が、いつ、どのようにデータを取得・保管・解析したのかを記録するChain of Custody(証拠の取扱履歴)や、取得データの完全性を確認するためのハッシュ値など、調査プロセスを適切に管理できる体制があるか確認しましょう。
専門性を確認する際には、実務経験に加え、デジタル・フォレンジック・プロフェッショナル認定(CDFP)など、デジタルフォレンジック分野の資格保有者が在籍しているかも参考になります。ただし、資格や業界団体への所属だけで技術力や法的有効性が保証されるものではありません。
法的利用を予定している場合には、調査目的を依頼前に伝え、どのような調査手順や成果物が必要なのかについて、弁護士などとも連携して整理することが重要です。
調査対象が数十台以上の端末や複数のサーバー、クラウドサービスなどにまたがる場合は、単体のPC解析とは異なる体制が必要になります。
大量のデータを効率的に収集・処理できる解析環境、複数の調査員による並行作業体制、対象を絞り込むためのトリアージやファストフォレンジックなどに対応できるかを確認しましょう。
海外拠点を含む場合には、各地域でのデータ取り扱いや個人情報・越境移転に関するルールへの対応も考慮する必要があります。
AIなどを利用したデータの分類・絞り込み技術を提供する会社もありますが、AIを利用していること自体を選定基準とするのではなく、大規模なデータをどのような方法で処理し、調査品質を維持しているのかを確認することが重要です。
フォレンジック調査の費用は、調査対象となる機器の種類・台数、データ容量、調査範囲、緊急度などによって大きく異なります。そのため、提示された総額だけではなく、見積もりに含まれる調査内容を確認して比較することが重要です。
フォレンジック調査の見積もりで確認したい項目
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| 確認項目 | 確認する内容 | 注意したいポイント |
|---|---|---|
| 調査対象 | PC・サーバー・ログなど、何が調査対象に含まれているか | 対象端末やログを追加した場合に、別料金が発生するか確認する |
| データ保全 | 調査に必要なデータの取得・保全作業が料金に含まれているか | オンサイトでの作業や機器の配送などが別料金になる場合も確認する |
| 解析内容 | どのデータやログを、どこまで解析するのか | 「フォレンジック調査一式」だけではなく、具体的な解析範囲を確認する |
| 調査対象期間 | いつからいつまでのデータやログを調査するのか | インシデントの発生時期を含む、必要な期間が対象になっているか確認する |
| 報告書 | 調査報告書の作成や結果説明が料金に含まれているか | 報告書の内容や形式、結果説明の有無についても確認する |
| 追加費用 | どのような条件で追加の調査費用が発生するのか | 追加作業を開始する前に、依頼者へ説明・承認が行われるか確認する |
| 納期 | 初期的な調査結果と最終報告の予定時期 | 緊急対応や特急対応を希望する場合は、追加料金の有無も確認する |
見積もりを比較する際には、「対象端末数」「対象となるデータやログ」「解析内容」「報告書」「データ保全」など、どこまでが料金に含まれているのかを確認しましょう。
金額が低くても、必要なログの解析やデータ保全、報告書作成などが別料金となっている場合があります。一方、すべての案件で幅広い解析が必要なわけでもありません。
自社が何を明らかにしたいのかを整理したうえで、必要十分な調査範囲になっているかを比較することが大切です。
インシデント調査では、解析を進める中で新たな対象端末やログの確認が必要になる場合があります。
そのため、「どのような場合に追加調査が必要になるのか」「追加費用はどのように算定されるのか」「追加作業を始める前に依頼者の承認が行われるのか」などを契約前に確認しましょう。
追加料金が発生する条件や承認の流れが明確であれば、調査途中で予算が想定以上に膨らむリスクを抑えやすくなります。
フォレンジック調査をご検討中の方へ
自社の場合、どこまで調査が必要か確認しませんか?
フォレンジック調査の対象や費用は、発生しているインシデント、対象となる機器や台数、確認したい内容によって異なります。「調査が必要な状況かわからない」「どの端末やログを調べればよいかわからない」といった段階でも、現在の状況をもとにご相談いただけます。
調査内容・費用を相談する実際にフォレンジック調査会社へ相談し、結果を得るまでの一般的な流れを解説します。具体的な工程は調査会社やインシデントの内容によって異なります。

まず、発生している事象、発覚した日時、対象となる端末やシステム、現在確認できている被害などを調査会社へ伝えます。
ヒアリング内容をもとに、どのようなデータを保全・調査する必要があるか、緊急性はどの程度か、どのような進め方が考えられるかを整理します。
この段階で自己判断による端末操作や電源断、ソフトウェアの追加などを行わず、必要な初期対応について専門担当者へ確認することが重要です。
調査対象となるPCやサーバー、各種ログなどについて、調査目的に応じた方法で必要なデータを取得・保全します。
物理ストレージの場合には、元のデータへの変更を極力避けながらフォレンジックイメージを取得する場合があります。クラウドやログの場合には、対象となるデータを適切な方法でエクスポート・取得するなど、対象に応じて保全方法は異なります。
取得したデータについてハッシュ値を記録するなど、解析に使用するデータの完全性を確認できるようにする方法も用いられます。
保全したデータやログを解析し、調査目的に応じて事実関係を確認します。
例えば、ファイル操作履歴、USB機器の接続、Web閲覧、プログラム実行、認証ログ、ネットワーク通信などを確認し、不正アクセスの侵入経路や不審な操作、情報漏えいの可能性などを調査します。
案件によっては、削除データの復元可能性の確認やマルウェア解析などを組み合わせる場合もあります。
解析によって確認された事実を整理し、調査報告書を作成します。
報告書には、調査対象、調査方法、確認された事実、時系列、原因や被害範囲について確認できた内容などが記載されます。調査で確認できなかった事項や、データ不足などによる調査上の制約についても明確にされていることが望まれます。
監査や法的手続きなど外部での利用を予定している場合は、依頼前にその目的を伝え、必要な情報や形式について調査会社および弁護士等と相談しておきましょう。
報告書の内容について説明を受け、確認された原因や影響範囲、その後に必要となる対応について整理します。
調査会社によっては、調査結果をもとに再発防止策の提案、セキュリティ設定の見直し、監視体制の強化、脆弱性診断などの関連支援を行っている場合があります。
自社で実施する対策と外部へ依頼する対策を整理し、調査結果を今後のインシデント対策に活用することが重要です。
フォレンジック調査会社への依頼を検討する際に、確認しておきたい主な疑問について解説します。
A. 調査期間は、対象となる機器の台数、データ容量、調査目的、解析内容、インシデントの規模などによって異なります。
対象を限定した初期的な確認であれば比較的短期間で結果を得られる場合もありますが、複数端末やサーバー、各種ログを横断して分析する場合には、数週間以上を要することもあります。
調査会社によって通常対応や特急対応などの納期も異なるため、見積もり時に「いつまでに何を確認したいのか」を伝え、初期所見と最終報告それぞれの想定時期を確認しましょう。
A. フォレンジック調査の結果や報告書は、監査や法務対応、訴訟などにおける事実関係の説明資料として活用される場合があります。
その際には、取得したデータの完全性や、誰がいつデータを取得・保管・解析したのかというChain of Custodyなど、調査プロセスを適切に記録することが重要です。
ただし、フォレンジック調査報告書を提出すれば自動的に裁判上の証拠能力が認められるわけではありません。法的手続きでの利用を予定している場合には、事前に調査会社へ目的を伝え、弁護士などの専門家とも連携して調査方法や成果物を検討してください。
A. 退職者が使用していたPCについても、会社が適切な権限を有する機器やデータであれば、端末に残されたファイル操作、USB接続、プログラム実行などの痕跡を調査できる場合があります。
削除されたファイルについても、ストレージ上にデータが残っている場合には復元または痕跡を確認できる可能性があります。ただし、データの上書き状況やSSDの仕組み、暗号化、初期化の方法などによっては復元できない場合もあります。
調査対象となる端末を通常業務で使い続けるとデータが上書きされる可能性があるため、自己判断で操作を続ける前に専門担当者へ相談することが重要です。
A. インシデント発覚後は、原因を確認しようとして対象端末を何度も操作したり、不審なファイルを開く・削除する、復元ソフトやセキュリティツールを新たにインストールするなどの行為は避けた方が安全です。これらの操作によって、調査に必要なデータやログが変更・上書きされる可能性があります。
また、シャットダウンや再起動によって揮発性データなどが失われる場合があります。一方で、インシデントの内容によってはネットワークからの隔離などを優先すべきケースもあるため、「必ず電源を切る」「必ずネットワークケーブルを抜く」といった一律の対応は適切とは限りません。
発覚日時、発見者、表示された画面、確認された事象などを記録し、不必要な操作を避けたうえで、自社のインシデント対応手順や専門事業者の指示に従って対応してください。
フォレンジック調査会社の選定は、インシデント発生後の原因究明や被害範囲の把握、その後の社内外への説明に影響する重要な判断です。
単に費用の安さや企業規模だけで判断するのではなく、自社で発生しているインシデントに対応できる「調査実績・専門性」「技術力・対応範囲」「対応スピード」「報告書」「情報管理」「見積もり」「調査後のサポート」といった複数の観点から比較しましょう。
また、フォレンジック調査では、インシデント発覚後のデータ保全や初動対応も重要です。調査が必要か判断できない段階でも、不用意な端末操作を続ける前に専門事業者へ相談し、必要なデータを適切に保全したうえで調査へ移行することが、原因や被害範囲を正確に把握するための第一歩となります。
自社が「何を明らかにしたいのか」「調査結果を何に利用するのか」を整理したうえで、それに適した技術・体制・支援範囲を持つフォレンジック調査会社を選定することが重要です。
フォレンジック調査会社の選定でお悩みの方へ
調査対象が決まっていなくても、まずはご相談いただけます
不正アクセス、ランサムウェア、情報漏えい、内部不正など、インシデントの状況によって必要な調査は異なります。現在の状況や確認したい内容を整理しながら、必要となる調査範囲や進め方をご案内します。
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