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セキュリティコラム

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公開:2021.08.16 10:00 | 更新: 2022.08.16 02:52

歴史から見るコンピュータウイルス

さまざまなコンピュータウイルスによるサイバー攻撃がニュースに取り上げられ、不安に感じている方も多いかと思いますが、そもそもコンピュータウイルスとは何か、いつどのようにして誕生したか、知っている人は少ないかもしれません。今回はそのようなコンピュータウイルスの歴史について紹介していきます。

コンピュータウイルスとは

2021年現在、経済産業省にて、以下のようにコンピュータウイルスの定義がなされています。

コンピュータウイルス
第三者のプログラムやデータべースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、 次の機能を一つ以上有するもの。

(1)自己伝染機能
 自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、 他のシステムに伝染する機能
(2)潜伏機能
 発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能
(3)発病機能
 プログラム、データ等のファイルの破壊を行ったり、設計者の意図しない動作をする等の機能

コンピュータウイルスの歴史

コンピュータウイルスの概念

1949年にジョン・フォン・ノイマンによって「自己増殖オートマトン」の理論を提唱。
生物ではないコンピュータが、自分自身の複製できるかを証明した実験でした。

コンピュータウイルスの軌跡

コンピュータウイルスの黎明期

*1960年代*
「他のプログラムを書き換える」というプログラムが生まれたのはこの頃。開発者の間では「Darwin(ダーウィン)」や「Core Wars(コア ウォー)」といったプログラミングゲームで、他者のコードを上書きし、プログラムを強制終了させて勝利するという遊びがひそかに楽しまれていました。

*1970年代*
「The Creeper(クリーパー)」と呼ばれるワームがインターネットの前進「ARPANET(アーパネット)」のネットワークで拡散されました。このプログラムは悪意のあるものではなく「I'm the creeper, catch me if you can!(俺はクリーパー、捕まえられるかな?)」と表示されるというものでした。

「ANIMAL(アニマル)」は学習型プログラムとして発表され、反響が良く、利用希望者が増えましたが、開発者であるジョン・ウォーカーはいちいちコピーするのが面倒になり、プログラムがインストールされていないディレクトリがあれば勝手にインストールさせるという別のプログラムを作りました。そのプログラムが結果的にシステムの負荷を高めてしまいました。初期の「トロイの木馬」型マルウェアとされています。

この時代はメインフレームという大型コンピュータ中心のコンピュータウイルスでした。
SF作家ジョン・ブラナーの小説「衝撃波を乗り切れ」にて、コンピュータネットワークで増殖するプログラムのことを「ワーム」と呼びました。

コンピュータウイルスの拡散、アンチウイルスソフトの誕生

*1980年代*
「Elk Cloner(エルク クローナ)」は当時高校生だったリッチ・スクレンタは友人を驚かそうとApple IIをターゲットとしたフロッピーディスクを介して感染させるというプログラムを作りました。このプログラムは、友人以外にも広まり、パーソナルコンピュータ(PC)ウイルスで初のコンピュータウイルスとされています。

「Brain(ブレイン)」はコンピュータ関連会社を経営していたパキスタン人のアルビ兄弟が不正コピーを繰り返す顧客の対策として、フロッピーディスクからシステムをコピー後、コピーを起動するとメッセージを表示されるようにプログラムを作りました。このプログラムはコンピュータの普及が進んでいたアメリカで多く発見され、メディアに大きな問題として取り上げられました。非常に多くの不正コピーが行われている実態が浮き彫りになったからです。

この時代はPCの進歩とともに様々なコンピュータウイルスが生まれ、世に拡散されることになりました。レオナルド・エーデルマン教授、コンピュータ科学者フレッド・コーエンは、自らのコピーをつくるプログラムを「ウイルス」、ウイルスの拡散を「感染」と呼びました。コンピュータウイルスは【他のプログラムを書き換えて、自分自身をコピーする手法で感染するプログラム】と定義しました。

1980年代後半には、コンピュータウイルスを脅威に感じたジョン・マカフィーやユージン・カスペルスキーをはじめ、多くのコンピュータ専門家たちがアンチウイルスソフトベンダーを立ち上げました。
インドネシアのデニー・ヤヌア・ラムダニはDen Zuk(デンズク)という、Brain(ブレイン)を検出し、除去することができるプログラムを作成しました。アンチウイルスソフトの先駆けとなりました。

巧妙になっていくコンピュータウイルス

*1990年代*
日本国内でもコンピュータウイルスが発見されるようになりました。
「Dbf-1」はコンピュータ用のゲームソフトに感染しており、感染したゲームソフトを実行するとコンピュータが感染し常駐、別のフロッピーディスクを入れるとそのディスクも感染するというもの。1990年7月になるとディスク装置の内容すべて破壊される設計となっていました。

「Concept(コンセプト)」はMicrosoft Wordが動作するコンピュータであれば、感染してしまう初めてのマクロウイルスでした。

「W32/Ska(スカー)」は電子メールを介した場合、自分宛てのメールと同じタイミングで「Happy99.exe」だけが添付されたメールが送られ、添付ファイルを実行すると感染します。差出人は直前にメールを送った人物でした。別名「Happy99」とも呼ばれています。

80年代~90年代前半はブートセクタで感染するウイルスが多く見受けられましたが、90代後半になるにつれて、Microsoft Officeなどのソフトウェアを利用したコンピュータウイルスも登場しています。

世界規模のネットワーク障害、感染拡大

*2000年代*
「W32/SQL Slammer(SQLスラマー)」はMicrosoft SQL Serverの脆弱性を突いたコンピュータウイルスで、ウイルス発見から数十分のうちに7万5000以上のサーバーに感染、世界的なネットワーク障害を発生させました。

「Cabir(キャビア)」はSymbianOSが搭載された携帯電話のBluetooth通じて感染させるコンピュータウイルス。携帯電話で初のウイルスとされています。

「Conficker(コンフィッカー)」はMicrosoft Windowsを標的としたコンピュータウイルス。Windows OSの脆弱性を突き、感染が広がりました。Microsoftはその脆弱性についてはConfickerが発見される数か月前に緊急パッチを公開していましたが、Windows PC利用者の多くがそのパッチを適用していませんでした。また、安易なパスワードをクラッキング、ボットネットを形成して利用者の知らないうちに、他のコンピュータに侵入する亜種も登場し、世界200ヶ国以上の家庭、企業、政府機関にまで感染が拡大しました。

2000年代に入ると、コンピュータウイルスによる大規模なネットワーク障害やPC以外でのウイルス、世界規模の感染拡大が深刻となります。安易なパスワードの設定やプログラムの更新を怠ったことで自分のコンピュータに感染したり、ネットワークを介して他者にも被害を与えてしまうようなウイルスも登場しました。

おわりに

時代によって様々なコンピュータウイルスが生まれ、技術の進歩とともにウイルスもより巧妙なものになっていきました。
また、デバイスもPCからスマホ・タブレット、IoT機器までと多岐にわたり、攻撃の幅はますます広がるでしょう。

被害を受けないためには、安易なパスワードは設定しない、プログラムの更新は必ず最新のものにすること、不審なメールは開かない、など、手軽なところから始めることはもちろん、上記で見た通り、防御策であるアンチウイルスソフトの導入による効果も見込まれます。

特に、ウイルスの高度化とともに、アンチウイルスソフトも進化し、近年は高い検知率を誇る次世代アンチウイルスソフト(NGAV :Next Generation Anti-Virus)が注目されています。
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