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公開:2026.06.24 11:00 | 更新: 2026.06.24 01:57

SCS評価制度とは? 押さえたい概要と今から準備すべきこと

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はじめに

取引先から「SCS評価制度に対応していますか?」と聞かれたとき、まだ制度の細かな運用まで追い切れていない企業も多いのではないでしょうか。SCS評価制度は、サプライチェーンに関わる企業のセキュリティ対策状況を共通の基準で見える化するために検討されている制度です。

本日執筆時の2026年6月時点では、申請方法・費用・評価ガイドなど、今後公表予定の内容も残っています。そのため本記事では、現時点で公開されている制度構築方針と、当社の認識・想定も踏まえながら、まず押さえておきたいポイントを理解しやすいようお伝えします。

まず結論:今から準備すべきこと

SCS評価制度に向けて、今から行うべきことは大きく4つです。

SCS評価制度に向けて今から行うべき4つのこと

制度対応というと、委託先企業が「評価を取る側」として注目されがちです。
しかし本来は、委託元と委託先の双方の負担を減らし、共通基準で確認できるようにすることが重要です。
委託先が★3や★4を取得している場合には、委託元側も重複したセキュリティチェックシートを細かく求め続けるのではなく、不足部分や自社固有のリスクに絞って確認する、といった使い方が望ましいと考えられます。

INDEX

はじめに

SCS評価制度とは?

SCS評価制度、★3・★4は何が違う?

なぜ今、SCS評価制度が注目されているのか

SCS評価制度、よくある質問

まとめ|制度対応は“説明できるセキュリティ”をつくる取り組み

SCS評価制度とは?

SCS評価制度は、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」の略称です。企業のセキュリティ対策状況を★の段階で可視化し、委託元企業と委託先企業が同じものさしで確認できるようにする仕組みとして検討されています。

ポイントは、企業の優劣を競う格付け制度ではないという点です。目的は、サプライチェーン全体で必要なセキュリティ対策を確認し、取引先ごとにバラバラだった確認作業を少しでも共通化することにあります。

現時点の方針では、制度の対象はサプライチェーンを構成する企業等のIT基盤です。社内サーバー、PC、ネットワーク、クラウド環境などが主な対象として想定されます。一方、一般的にIT基盤に該当しない製造現場の制御システム(OT)や、委託元へ提供する製品そのものは、直接の対象とは切り分けて考えられています。

SCS評価制度の評価対象に含まれるもの・含まれないもの

SCS評価制度、★3・★4は何が違う?

SCS評価制度では、★3・★4を中心に制度設計が進められています。★5については、今後さらに具体化される予定です。

★3は、一般的なサイバー脅威に対応するための基本的な水準として捉えると理解しやすいでしょう。アクセス管理、脆弱性対策、ログ管理、バックアップ、インシデント対応、委託先管理など、自社のIT基盤を守るための基本対策が、ルールとして存在し、実際に運用されているかが重要になります。

★4は、★3よりも広い範囲や高度な対策を含む水準として設計されています。現時点の方針では、専門家の確認を経た自己評価や、第三者評価機関による評価が想定されています。技術的な確認が必要になる場合もあるため、文書をそろえるだけでなく、実際のシステム設定や運用状況を説明できる状態にしておくことが大切です。

多くの企業にとっては、まず★3の要求事項を確認し、自社の現状との差分を把握することが現実的な第一歩です。取引先から★4相当の対応を求められる可能性がある場合は、早めに★4の要求事項も見ておくとよいでしょう。

★3と★4の違いをひと目で比較

なぜ今、SCS評価制度が注目されているのか

背景にあるのは、サプライチェーンを狙ったサイバー攻撃の増加です。攻撃者は、必ずしも大企業だけを直接狙うわけではありません。セキュリティ対策が十分でない取引先や委託先を入口にして、最終的に大きな取引網や重要情報へアクセスしようとするケースがあります。

そのため委託元企業は、委託先がどの程度の対策をしているのかを把握したいと考えます。一方で委託先企業は、取引先ごとに異なるチェックシートへ何度も回答する負担を抱えがちです。SCS評価制度は、この双方の課題を減らすための共通言語として期待されています。

大切なのは、委託先だけに負担を寄せないことです。委託元側も、リスクに応じて必要な★段階を提示し、取得済みの評価を尊重しながら確認項目を整理する必要があります。制度がうまく活用されれば、セキュリティ確認の重複が減り、委託先は本来の対策や改善に時間を使いやすくなります。

準備1:まずは自社の状況を棚卸しする

最初に取り組みたいのは、自社の現状把握です。どのサーバーやPCを使っているのか、どのクラウドサービスで何の情報を扱っているのか、誰が管理責任者なのかを整理します。あわせて、アカウント管理、特権ID、社外からの接続方法、バックアップ、ログ取得、インシデント時の連絡先なども確認しましょう。

ここで重要なのは、完璧な台帳を一気に作ろうとしないことです。まずは主要システムと重要情報から整理し、取引先に説明する必要がありそうな範囲を優先して見える化するのが現実的です。

準備2:要求事項との差分を確認する

棚卸しができたら、★3・★4の要求事項と照らし合わせ、自社に足りない点を確認します。たとえば、多要素認証を導入しているか、退職者アカウントを速やかに削除しているか、脆弱性情報を確認してパッチを適用しているか、バックアップから復旧できるか、といった項目です。

社内では「やっているつもり」でも、証跡として残っていない、ルールが文書化されていない、担当者によって運用が違う、というケースは少なくありません。差分確認では、対策の有無だけでなく、説明できる状態になっているかまで見ることが重要です。

準備3:証跡・文書・運用記録を整える

SCS評価制度への対応では、「対策しています」と言うだけでは足りません。実際に運用していることを示す証跡が必要になります。情報セキュリティ規程、アクセス管理手順、インシデント対応手順、委託先管理ルール、アカウント申請・承認記録、ログ確認記録、バックアップ実施記録などを、必要なときに提示できる状態にしておきましょう。

文書は立派すぎる必要はありません。むしろ、実態と合っていて、担当者が迷わず運用でき、定期的に見直されていることの方が大切です。ライトに始めるなら、まずは既存の規程やチェックシートを集め、どの要求事項の証跡として使えそうかを整理するところから始めるとよいでしょう。

準備4:委託元としての確認ルールも見直す

委託元企業は、委託先に対してセキュリティ対策を求める立場になります。しかし、SCS評価制度の趣旨を考えると、評価を取得している委託先に対しても従来どおり細かな独自チェックシートを何度も求める運用は、制度のメリットを薄めてしまいます。

委託先が★3や★4を取得している場合は、まずその評価を共通基準として確認し、自社固有の機密情報、接続方式、再委託の有無など、追加で確認すべき点に絞る運用が考えられます。委託元がこの使い方を意識することで、委託先の疲弊を防ぎつつ、サプライチェーン全体のセキュリティ向上につなげやすくなります。

SCS評価制度に向けた4つの準備

SCS評価制度、よくある質問

Q. ISMSやPマークを取得していれば対応不要ですか?

不要とは言い切れません。既存の規程や運用記録を活用できる可能性はありますが、SCS評価制度の要求事項との差分確認は必要です。

ISMS・PマークとSCSの比較

Q. 費用はもう決まっていますか?

現時点では、申請費用や登録費用など詳細が今後公表される部分もあります。社内では、評価取得費用だけでなく、対策強化、文書整備、専門家への相談、脆弱性診断などに必要な予算も含めて検討しておくと安心です。

Q. まず何から始めればよいですか?

最初は、情報資産と主要システムの棚卸しからで十分です。そのうえで、要求事項を見ながら不足点を洗い出し、証跡として使える文書や記録を整理していきましょう。

Q. 委託先が★3・★4を取得していればチェックシートは不要ですか?

完全に不要とは限りません。ただし、評価済みの項目まで一から細かく確認し直すのではなく、SCS評価で確認できる範囲と、自社の取引条件として追加確認が必要な範囲を分けて考えることが重要です。たとえば、取り扱う情報の機密性、社内ネットワークへの接続有無、再委託の条件、インシデント時の連絡ルールなどは、委託元側で個別に確認したい論点になり得ます。

制度の趣旨を活かすなら、委託元は“評価を取ってください”で終わらせるのではなく、“取得済み評価をどのように取引先管理へ反映するか”まで設計することが大切です。

まとめ|制度対応は“説明できるセキュリティ”をつくる取り組み

SCS評価制度は、まだ詳細が確定していない部分もありますが、今から準備できることは多くあります。重要なのは、制度開始を待つのではなく、自社の対策状況を棚卸しし、要求事項との差分を確認し、証跡を整えることです。

また、委託元企業は、委託先に評価取得を求めるだけでなく、取得済み評価を活用して確認負担を減らす姿勢も求められます。SCS評価制度を、単なるチェック対応ではなく、取引先に説明できるセキュリティ体制をつくる機会として捉えることが、これからのサプライチェーン対策では重要になるでしょう。

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