公開:2026.06.05 04:07 | 更新: 2026.06.05 07:13
クラウドサービスや外部公開システムを利用する企業では、「ASMツールと脆弱性診断の違いがよくわからない」「自社ではどちらを、どのように使えばよいのか判断できない」と悩むセキュリティ担当者も少なくありません。特に、外部に公開されているIT資産が日々変化し、その全体像を把握しきれていないことに不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ASM(アタックサーフェスマネジメント)と脆弱性診断の基本的な違い、それぞれの役割、使い分け、導入判断のポイントを解説します。両者の関係性を整理し、自社の外部公開資産の把握や脆弱性管理を見直す際の参考にしてください。
まとめ:ASMと脆弱性診断を組み合わせ、外部公開資産の把握と詳細なリスク確認を進めよう
ASM(アタックサーフェスマネジメント)と脆弱性診断の違いを理解することは、自社のセキュリティ対策を検討するうえで重要です。この記事では、ASMを「攻撃者の視点から外部公開されたIT資産(アタックサーフェス)を継続的に発見・評価・管理するプロセス」、脆弱性診断を「既知のIT資産に潜む脆弱性(弱点)を専門的に検査するプロセス」と定義し、その基本的な違いから具体的な使い分けまでを詳しく解説します。
まずは、両者の違いが一目でわかるように、比較表をご覧ください。この表を通じて全体像を把握することで、続く詳細な解説への理解が深まるでしょう。
※横にスクロールしてご覧ください。
| 比較項目 | ASMツール | 脆弱性診断 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 外部から見える攻撃面(アタックサーフェス)を把握し、継続的に管理する | 特定のシステムやアプリケーションに存在する脆弱性・設定不備を確認する |
| 対象範囲 | サブドメイン、外部公開サーバー、クラウド環境、公開ポート、証明書、管理外資産など | Webアプリケーション、サーバー、ネットワーク機器、クラウド環境など、事前に定めた診断対象 |
| 把握できる資産 | 自社が把握していない外部公開資産や、管理漏れの可能性がある資産も発見対象になる | 基本的には、事前に診断対象として指定した既知の資産が対象になる |
| 実施頻度 | 継続的・定期的に監視する | 年1回、四半期ごと、リリース前、システム変更時など、タイミングを決めて実施する |
| 得られる情報 | 外部公開資産の一覧、公開状態、リスク情報、変化の検知など | 脆弱性の詳細、再現手順、影響度、対策方法、優先度など |
| 得意なこと | 外部公開資産の発見、管理外資産の把握、攻撃対象領域の変化の検知 | 対象システムの脆弱性を詳しく確認し、具体的な対策につなげること |
| 補いにくいこと | 認証後の画面、業務ロジック、アプリケーション内部の詳細な脆弱性確認 | 診断対象に含まれていない未知の外部公開資産や、日々変化する公開状態の継続的な把握 |
| 活用シーン | 外部公開資産を継続的に把握したい場合、シャドーITや管理外サブドメインを発見したい場合 | リリース前、定期診断、重要システムの詳細確認、脆弱性の影響度や対策方法を整理したい場合 |
| 関係性 | 脆弱性診断の対象候補を見つけ、優先順位付けを補助する | ASMで見つかった重要資産やリスクに対して、詳細な確認を行う |
次からは、この比較表の各項目について、さらに詳しく掘り下げて解説します。
ASMツールと脆弱性診断は、どちらか一方を選ぶものではなく、自社の外部公開資産の状況や運用体制に応じて使い分けることが重要です。セキュアイノベーションでは、現在の診断対象や外部公開資産の状況を踏まえ、必要な確認範囲や診断の進め方を整理できます。
まずは資料請求ASMと脆弱性診断は、どちらもセキュリティリスクを低減することを目的としていますが、そのアプローチと視点には明確な違いがあります。ASMの主な目的は、攻撃者に近い視点で「自社が外部からどのように見えているか」を把握し、攻撃の入口になり得る外部公開資産、つまりアタックサーフェスを管理することにあります。
これはまさに「外からの視点」であり、情報システム部門や開発チームが見落としがちな、外部に公開されているIT資産や設定ミスを発見することが主眼となります。攻撃者は、企業側が想定している管理範囲の外側にある公開資産や設定不備も探すため、防御側も外部から見える状態を継続的に確認することが重要です。
一方、脆弱性診断の目的は、事前に定められた対象システムに対し、「内部にどのような弱点(脆弱性)が存在するか」を専門的に検査することです。こちらは「内側への視点」と言えます。Webアプリケーションであればソースコードの不備、サーバーであれば設定ミスやパッチ未適用など、具体的な技術的欠陥を確認することが診断の主要な目的となります。
脆弱性診断は、特定のシステムに存在する脆弱性や設定不備を詳しく確認する手法であり、ASMとは対象とするリスクや確認方法が異なります。
ASMと脆弱性診断では、アプローチだけでなく「対象とする範囲」も大きく異なります。ASMの対象範囲は、企業が公式に管理している資産にとどまらず、管理部門が把握していない「未知の資産」や、意図せず外部に公開されてしまっている「シャドーIT」まで含まれる広範なものです。
例えば、開発チームがテスト目的で一時的にクラウド上に構築し、その後削除を忘れてしまった検証サーバー、退職した担当者が管理していた古いサブドメイン、設定ミスによって公開状態になってしまったクラウドストレージ(S3バケットなど)などがこれに該当します。
これらは企業側が認識していない場合があり、通常のセキュリティ管理から漏れてしまうリスクがあります。ASMツールは、このような把握漏れの可能性がある外部公開資産を発見し、可視化するために活用できます。
これに対し、脆弱性診断の対象範囲は、原則として診断依頼時に指定された「既知の資産」に限定されます。つまり、診断対象リストに載っていない資産は、たとえ重大な脆弱性を持っていたとしても、診断のプロセスでは発見されません。
例えば、Webアプリケーション診断を依頼した場合、診断対象URL以外のサブドメインや関連システムは原則として対象外です。診断対象を事前に限定することで、その特定領域を深く検査できますが、裏を返せば、診断の網から漏れた領域には依然としてリスクが潜んでいる可能性があるという、アプローチの違いから生じる限界点があるのです。
ASMと脆弱性診断では、その実施「頻度」や「継続性」においても大きな違いがあります。ASMは、インターネットに公開されているIT資産(アタックサーフェス)が日々変化するという前提に立っています。そのため、自動化されたツールやプロセスによって、外部公開資産の変化を継続的に確認する活動として位置づけられます。
ASMは、新しいサーバーが立ち上がったり、クラウド設定が変更されたり、新たなサブドメインが追加されたりといったIT環境の変化を検知し、リスク評価につなげやすい点が特徴です。これにより、新しい外部公開資産や設定変更を継続的に把握し、必要な確認や対応につなげやすくなります。
一方、脆弱性診断は、年1回や四半期に1回、あるいは新しいシステムやサービスがリリースされるタイミングなど、特定の節目で実施されることが一般的です。これは「定期健康診断」や、あるいは「精密検査」に例えることができます。診断は、ある時点における資産のスナップショットとして、その時点での脆弱性や設定不備を詳しく確認する活動であり、継続的な監視とは性質が異なります。
診断の間に発生した新しい公開資産や設定変更については、次の診断まで把握できない可能性があります。このように、ASMは「面」での継続的な監視を、脆弱性診断は「点」での深い検査を担っていると言えるでしょう。
近年、従来の脆弱性診断だけでは把握しきれないセキュリティリスクへの対応として、ASM(アタックサーフェスマネジメント)ツールが注目されています。これは、企業のビジネス環境が変化し、管理すべきIT資産が増加・分散しているためです。
クラウドサービスの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、複雑化するサプライチェーンなどにより、企業が「把握できている資産を守る」という従来のアプローチだけでは、外部公開資産の変化を十分に追いきれない場合があります。この変化がなぜASMの必要性を高めているのか、次のセクションから具体的に掘り下げて解説します。
ASMが注目される理由の一つは、企業のIT環境における「アタックサーフェス(攻撃対象領域)」が拡大している点にあります。IaaS、PaaS、SaaSといったクラウドサービスの普及、リモートワークの常態化、API連携の増加など、現代のビジネス環境は外部との接続点を飛躍的に増やしています。
例えば、開発部門が手軽にサーバーやサービスをクラウド上に立ち上げられるようになった結果、情報システム部門やセキュリティ部門がその全体像を把握しきれないケースがあります。これにより、企業が意図しない「シャドーIT」や、クラウドストレージの公開設定ミスなどが発生し、攻撃の入口になる可能性があります。
具体的には、アクセス制限が不十分なS3バケットや、テスト用の仮想マシンがインターネット上に公開されたままになっているといった状況です。このような状況では、IT資産の棚卸しが難しくなり、従来の管理手法だけでは対応しにくくなる場合があります。
サイバー攻撃が巧妙化し、その攻撃起点が多様化していることも、ASMが重要視される理由の一つです。現代の攻撃者は、企業の主要システムへの直接的な攻撃だけでなく、防御側が見落としがちな「忘れられた資産」や「管理が不十分な領域」を狙うことがあります。
たとえば、本番環境に比べてセキュリティ対策が手薄になりがちな開発環境やステージング環境、あるいは過去のキャンペーンで利用され、そのまま放置されている古いWebサイトなどが初期侵入の足がかりとして悪用されるケースがあります。
さらに、M&A(合併・買収)によって取得した子会社のシステムが、本社のセキュリティポリシーと異なる運用をされており、それが脆弱性となることもあります。攻撃者は、企業が想定していない公開資産や設定不備を探し、そこを攻撃の入口として利用することがあります。
このような状況に対応するためには、企業側も攻撃者と同じ視点に立ち、自社のIT資産が外部からどのように見えているのかを継続的に把握し、攻撃の入口になり得る箇所を確認する必要があります。ASMは、この「攻撃者に近い視点」で外部公開資産を確認するための手段として注目されています。
ASMが注目される3つ目の背景として、従来の脆弱性管理プロセスが現代のIT環境の変化に追いついていないという限界点が挙げられます。企業によっては、Excelなどの台帳を使った手作業でのIT資産管理を行っている場合もありますが、日々変化する動的なIT環境、特にクラウド環境では、この手法だけで資産の増減や変更に追従することは難しくなります。
また、定期的に実施される脆弱性診断は、特定の時点・対象に対する確認であるため、継続的な外部公開資産の変化把握とは役割が異なります。診断が行われた時点でのセキュリティ状態を評価することはできますが、診断と診断の間に発生した新たな公開資産や設定変更を把握できない「空白期間」が生じる場合があります。この「点」と「点」の間のリスクを埋め、継続的に外部公開資産の変化を把握するためには、ASMのようなアプローチが有効です。
これまで、ASM(アタックサーフェスマネジメント)と脆弱性診断の基本的な違いや、ASMが注目されるようになった背景を解説してきました。ここからは、両者の役割分担と、どのように組み合わせて活用すればよいのかを整理します。
まず強調したいのは、ASMは従来の脆弱性診断を置き換えるものではない、という点です。両者はそれぞれ異なる目的とアプローチを持つため、対立する概念ではなく、互いに補完し合う関係にあります。ASMで企業の外部に公開されたIT資産を把握し、脆弱性診断で特定の資産に存在する脆弱性や設定不備を詳しく確認する。
この連携により、外部公開資産の把握と詳細なリスク確認を組み合わせた運用を進めやすくなります。このセクションでは、両者をどのように連携させると実務に活かしやすいのかを整理します。
ASMツールの第一の役割は、まるでセキュリティ部門の「自動資産棚卸しシステム」のように機能することです。自社が保有するドメイン名やIPアドレスレンジなどを初期情報として設定すると、ツールがインターネット上を探索し、関連するサブドメイン、ウェブサイト、サーバー、クラウドサービス、設定ミスにより外部公開されている可能性があるストレージなど、外部からアクセス可能なIT資産を継続的に可視化します。
これにより、情報システム部門すら把握していなかった「シャドーIT」や「野良資産」といった、見落としがちな攻撃対象領域を可視化しやすくなります。
第二の役割は、一度可視化した資産に対して継続的な「常時監視」を行うことです。企業のIT環境は日々変化しており、新たな開発プロジェクトによるサーバーのデプロイ、既存サービスの機能追加、設定変更などによって、攻撃対象領域は継続的に変化します。
ASMツールは、新たな資産の公開、予期しないポートの開放、脆弱性情報が公開されたソフトウェアの使用などを一定の間隔で検知し、アラートとして通知します。これにより、攻撃のきっかけとなり得る外部公開状態の変化を把握しやすくなります。
脆弱性診断は、Webアプリケーション、ネットワーク、OS、ミドルウェアなどの特定資産に対して、脆弱性や設定不備を詳しく確認する「健康診断」や「精密検査」のような役割を担います。特定の時点において、専門家や専用ツールが確認することで、既知の脆弱性データベースとの照合に加え、設定不備、コードの欠陥、アクセス制御の不備といった具体的な弱点を確認します。
さらに、脆弱性診断はASMツールと連携することで、より戦略的な「精密検査」としての役割も果たします。例えば、ASMツールによって「未知のウェブサーバー」が発見された場合や、「特定のアプリケーションに古いバージョンのライブラリが使われている」というアラートが出た場合、その資産に対して脆弱性診断を実施することで、ASMだけでは確認しにくい詳細な脆弱性や設定不備を確認できます。
つまり、ASMが「どこにセキュリティ上の問題がありそうか」という兆候を把握する手がかりになるのに対し、脆弱性診断は「具体的にどのような脆弱性が、どれほどの深刻度で存在しているのか」を整理し、対策につなげるための情報を提供します。
セキュリティ評価の手法として、ASMや脆弱性診断と並んでよく耳にするのが「ペネトレーションテスト(侵入テスト)」です。これら三者はそれぞれ異なる目的を持つため、混同しないように理解しておくことが重要です。
ASMや脆弱性診断が、資産や脆弱性を把握・整理することを主な目的とするのに対し、ペネトレーションテストは、特定の目的(例:機密情報の窃取、システム停止)を設定し、「発見された脆弱性や、設定の不備、人的な弱点などを複合的に利用して、実際にその目的を達成できるか」を試す「攻撃シミュレーション」です。
これは、攻撃者が侵入を試みた場合に、どの経路が使われ、どこまで影響が及ぶ可能性があるのかを検証するものです。例えば、あるWebサイトで複数の脆弱性が見つかった場合に、それらを組み合わせることでどの範囲まで侵入できる可能性があるか、といった攻撃シナリオを検証します。
つまり、ASMは「攻撃対象領域の可視化と継続的監視」、脆弱性診断は「特定資産の詳細な弱点検査」、そしてペネトレーションテストは「実際の攻撃シナリオによる侵入可否の検証」と、それぞれ目的が根本的に異なります。これらの手法を適切に使い分けることで、より多角的な視点から自社のセキュリティ強度を評価し、強化していくことが可能になります。
これまで、ASM(アタックサーフェスマネジメント)と脆弱性診断が、それぞれ異なる目的と役割を持つことを解説してきました。このセクションでは、それらをどのように連携させれば、セキュリティ担当者の運用負荷を抑えながら、外部公開資産の把握と詳細なリスク確認を進める運用フローを紹介します。
ASMで「発見」したリスクに対し、脆弱性診断で「特定」と「評価」を行い、「対処」と「確認」をASMで継続的に実施する。この一連のサイクルを回すことで、外部公開資産の変化を踏まえた脆弱性管理を進めやすくなります。これからお示しするステップは、自社のセキュリティ運用を見直す際の参考になります。
運用フローの最初のステップは、ASMツールを導入し、自社の「アタックサーフェス(攻撃対象領域)」を継続的に可視化・監視することです。まず、ASMツールに自社のドメイン名(例:example.com)や主要なIPアドレスレンジなどの初期情報を設定します。ASMツールはこれを起点に、インターネット上に公開されている関連資産を自動で探索し、リストアップします。
具体的には、サブドメイン、関連するWebサイト、稼働しているサーバー、利用しているクラウドサービス(AWS, Azure, GCPなど)、さらには不要なポートの開放状況、有効期限切れのSSL証明書、開発環境の露出といった多岐にわたる情報を収集します。
この活動は一度きりで終わるものではなく、ASMツールは、一定の間隔で外部公開資産を確認し、新たな資産の出現や既存資産の設定変更を検知します。これにより、自社のIT環境が変化しても、外部公開状態の変化を把握しやすくなります。
ASMツールが収集する情報の中から、セキュリティ担当者が優先的に対応すべき対象を絞り込むのが第2のステップです。ASMツールは、発見した資産の種別や設定、関連する既知の脆弱性情報などをもとに、リスク評価や優先順位付けを支援します。
例えば、過去に脆弱性が確認されているバージョンのソフトウェアが稼働しているサーバーや、情報システム部門が把握していない「野良」のサブドメイン、外部からアクセス可能になっているデータベース、あるいは公開すべきでないテスト環境などが高リスク資産として特定されます。
このように、ASMツールは「どこに問題がありそうか」という兆候を把握する手がかりになるため、限られたセキュリティリソースを優先度の高い問題に集中しやすくなります。この段階で、これまでの脆弱性診断では見逃されていた可能性のある「未知の資産」も洗い出され、対応の検討対象となります。
第2ステップでASMツールによって特定された高リスク資産や未知の資産に対して、今度は脆弱性診断を実施します。ASMがリスクの兆候を把握する手がかりになるのに対し、脆弱性診断は対象資産の脆弱性や影響度を詳しく確認する役割を担います。
たとえば、ASMで「外部に公開されたWebアプリケーションが存在する」と特定された場合、そのWebアプリケーションに対して、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの具体的な脆弱性が存在するか、悪用された場合にどのような影響があるかを脆弱性診断で確認します。
診断には、ツールによる自動診断と、専門家による手動診断があり、対象資産の重要度や特性に応じて使い分けます。ASMで把握した対象に対して脆弱性診断を行うことで、診断対象の優先順位を整理しやすくなります。
最後のステップは、脆弱性診断で明らかになった問題への対応と、その効果の確認です。脆弱性診断の結果報告書に基づき、開発チームやインフラチームと連携して、脆弱性の修正、不要な資産の閉鎖、設定の変更といった具体的な対応策を実施します。
対応が完了した後が重要です。ASMツールで公開状態や設定変更の反映状況を確認します。例えば、公開されていたポートが閉じられたこと、意図しない公開資産が停止されたこと、外部から見える状態が変化したことなどをASMツールのアラートやダッシュボードで確認します。
脆弱性そのものの修正確認が必要な場合は、再診断で確認するとよいでしょう。この「検出→特定→評価→対処→確認」というサイクルを継続的に回すことで、外部公開資産の変化を把握しながら、脆弱性管理を進めやすくなります。
外部公開資産の変化を把握できていない場合、診断対象から漏れたサブドメインや検証環境、クラウド設定などがリスクとして残る可能性があります。セキュアイノベーションでは、外部から見える資産や診断対象を整理し、脆弱性診断をどの範囲で実施すべきかを相談できます。
まずは資料請求ASMツールと脆弱性診断は、どちらも企業のセキュリティリスクを把握するために有効な手段ですが、すべての企業にとって唯一の正解があるわけではありません。企業の規模や業種、IT環境の複雑さ、現在のセキュリティ体制の成熟度によって、適した進め方は異なります。
このセクションでは、自社が「まずASMを導入すべきか」、あるいは「脆弱性診断を強化すべきか」を判断するための具体的なチェックポイントを詳しく解説します。自社の状況と照らし合わせながら、次のアクションを検討するための参考にしてください。
以下に挙げるような特徴に多く当てはまる企業は、まずASMツールを導入して自社の「攻撃対象領域」を可視化し、管理することから検討するとよいでしょう。
まず、AWSやAzure、GCPといったクラウドサービスを多用しており、サーバーやアプリケーションの追加・削除が頻繁に行われ、資産の増減が激しい企業は、ASMによって外部公開資産の変化を把握しやすくなります。
また、複数の事業部や子会社が存在し、それぞれの部門でIT資産を個別に管理しているため、組織全体のIT資産の全体像を情報システム部門が把握できていない場合にも、ASMの活用を検討しやすいケースです。さらに、M&A(合併・買収)を経験し、継承したシステムの管理やセキュリティ対策が追いついていない企業も、まずはASMで全体の棚卸しを行うことが重要です。
開発スピードを重視する文化があり、開発チームがテスト環境や検証用のサーバーを一時的に立ち上げる際に、セキュリティ部門のチェックを経ずに外部公開されてしまう「シャドーIT」が発生しやすい企業もASMによる常時監視が有効です。加えて、自社が外部に公開しているドメインやサブドメインの数を正確に答えられない、あるいは定期的に棚卸しできていない企業は、ASMツールによって「見えていないリスク」を洗い出すことができるでしょう。
一方で、以下の特徴に当てはまる企業は、ASMツールの導入よりも既存の脆弱性診断の強化を優先した方が、より効果的にセキュリティレベルを向上できる可能性があります。
外部公開している資産が限定的で、かつIT資産台帳などで一定程度管理できている企業は、ASMによる「未知の資産発見」のメリットが相対的に少ないかもしれません。また、クラウド環境ではなくオンプレミス環境が中心で、IT資産の構成変更が少なく安定している企業も、資産把握の難易度は比較的高くありません。
主なリスクが特定の重要サービス、例えば金融取引システムや大規模なECサイトなどに集中している場合は、その重要サービスに対して集中的に深掘りする脆弱性診断を強化する方が、目的に合う場合があります。
すでに外部公開資産の可視化は十分できており、次のステップとして個々の資産のセキュリティ品質を深く追求したいと考えている企業も、脆弱性診断の強化が優先されるでしょう。
さらに、DevSecOps(開発・運用・セキュリティを統合するアプローチ)の取り組みの一環として、開発の早い段階で脆弱性を検出・修正する「シフトレフト」を推進している企業では、SAST(静的アプリケーションセキュリティテスト)やDAST(動的アプリケーションセキュリティテスト)ツールの導入、あるいは診断の頻度向上などがより有効な対策となります。
ASMツールの導入を検討する際には、自社の要件に合わせて製品を慎重に比較検討することが重要です。ここでは、特に注目すべき3つのポイントを解説します。
一つ目のポイントは「検出範囲の広さ」です。自社のIT環境がクラウド中心なのか、オンプレミス環境も含まれるのか、どのようなドメイン構成になっているのかを考慮し、その環境に合致したツールを選ぶ必要があります。サブドメインやIPアドレスだけでなく、利用技術の種類、SSL/TLS証明書の情報、オープンになっているポートなど、どれだけ広範な情報を自動で収集・検出できるかを詳細に確認してください。
二つ目は「リスク評価と優先順位付けの精度」です。ASMツールは膨大な量の資産や脆弱性を検出する可能性があるため、それらに対して自動でリスク評価を行い、対応すべき優先順位を付けやすくする機能は運用効率に影響します。誤検知が少なく、実用的なアラートを提供してくれるか、リスクスコアの根拠が明確かなどを確認し、対応リソースを優先度の高い問題に集中しやすいツールを選びましょう。
三つ目は「運用・連携機能」です。検出結果を表示するダッシュボードが見やすいか、直感的に操作できるかは日々の運用において重要です。また、既存のセキュリティ運用フローにスムーズに組み込めるかどうかも確認が必要です。
具体的には、Jiraなどのチケット管理システムや、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)、Slackなどのチャットツールと連携できるかを確認し、導入後の運用負荷を軽減できるツールを選定することをおすすめします。これらのポイントを比較検討するために、複数のツールでPoC(実証実験)を行い、自社の運用に合うか確認するとよいでしょう。
ASMツール選びとは異なる観点が必要となる脆弱性診断サービスやツールを選ぶ際にも、いくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえることで、診断結果を実際の改善につなげやすくなります。
まず確認したいのは「診断の品質と実績」です。特に手動診断サービスの場合、診断員の技術力や経験が診断の質を大きく左右します。自社の対象システム(使用しているプログラミング言語、フレームワーク、アーキテクチャなど)に合った診断実績が豊富にあるかを確認しましょう。
次に「診断範囲と手法」です。ツールによる自動診断で十分なのか、ビジネスロジックの脆弱性などツールでは発見が困難な箇所まで専門家による手動診断でカバーする必要があるのか、あるいは両方を組み合わせたハイブリッドな診断が必要なのかを検討します。これにより、診断の網羅性と深さが決まります。
三つ目のポイントは「報告書の質」です。発見された脆弱性の再現手順、リスクレベル、推奨される具体的な対策が、開発者やシステム担当者が理解し、対応に移しやすい形で記載されていることが重要です。単に脆弱性を羅列するだけでなく、どのように修正すれば良いのかが明確であるかを重視してください。
最後に「サポート体制」も確認しておきましょう。診断後に脆弱性に関する質疑応答や、修正後の再診断サービスが提供されるかどうかも、セキュリティ改善のサイクルを進めるうえで重要な確認ポイントです。
ASMツールの導入や脆弱性診断の強化を検討する際は、自社の外部公開資産、既存の診断範囲、運用負荷を整理することが重要です。セキュアイノベーションでは、現状の課題を踏まえ、優先的に確認すべき資産や脆弱性診断の進め方を整理できます。
まずは資料請求この記事では、ASMツールと脆弱性診断の違いやそれぞれの役割、使い分けについて解説してきました。ASMは「外部公開資産の継続的な棚卸しと監視」を通じて、企業が把握しきれていない攻撃対象領域を可視化し、外部から見えるリスクを把握する役割を担います。一方、脆弱性診断は「特定資産の詳細な脆弱性確認」として、ASMで発見された高リスク資産や、従来の重要資産に潜む具体的な脆弱性を詳細に特定する役割を果たします。
現代のIT環境はクラウド化やDX推進によって複雑化の一途をたどり、管理すべきIT資産は増加しています。このような状況では、従来の脆弱性診断だけでは、企業が認識していない「未知の資産」や「シャドーIT」を継続的に把握しきれない場合があります。同様に、ASMだけで詳細な脆弱性の有無や深刻度を判断するには限界があります。
つまり、ASMと脆弱性診断は、どちらか一方だけで完結するものではなく、外部公開資産の把握と詳細なリスク確認を補完し合う関係にあります。ASMで外部公開資産を継続的に把握し、その中で確認が必要な対象に対して脆弱性診断を行うことで、外部攻撃面の把握と詳細なリスク確認を組み合わせやすくなります。
まずは、自社の外部公開資産をどの程度把握できているかを確認することから始めましょう。そのうえで、ASMツールによる継続的な把握と、脆弱性診断による詳細確認を組み合わせることで、変化するIT環境に合わせたセキュリティ対策を進めやすくなります。

脆弱性診断は、Webアプリケーションやネットワーク機器などに潜むセキュリティ上の弱点を洗い出し、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクを未然に防ぐための対策です。
当社の脆弱性診断サービスでは、経験豊富なセキュリティエンジニアが診断を行い、脆弱性の有無だけでなく、リスクレベルや具体的な対処方法まで報告します。診断結果をもとに改善策をご提案することで、実効性のあるセキュリティ対策を支援します。
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