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公開:2025.06.25 11:00 | 更新: 2025.06.25 05:02

【2025年最新】AIによる脆弱性診断はどこまで進化しているのか?

セキュアイノベーション:セキュリティブログ「【2025年最新】AIによる脆弱性診断はどこまで進化しているのか?」セキュアイノベーション:セキュリティブログ「【2025年最新】AIによる脆弱性診断はどこまで進化しているのか?」

はじめに

近年、AI(人工知能)の進化により、あらゆる業務でAIを使った自動化や効率化等の活用が進んでいます。
セキュリティ業界も例外ではなく、脆弱性診断の分野でもAIを導入する企業が急増しています。

セキュリティの確保がこれまで以上に重要となる現代において、AIによる診断はどの程度実用レベルに達しているのでしょうか?
例えば「AIで正確に脆弱性が見つかるのか?」「人の代わりになるのか?」等、そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、AIで実現できる脆弱性診断の最新動向や、導入メリット・注意点などをわかりやすく解説します。

INDEX

はじめに

AI活用で脆弱性診断はどう変わるのか
従来の脆弱性診断とその課題
AIによって、次世代の脆弱性診断はどう変化していくのか?
Webアプリケーション診断におけるAIの活用例
プラットフォーム診断におけるAIの活用例

AIを活用した脆弱性診断の主なメリットは?

参考資料AIを活用した脆弱性診断の課題は?

まとめ

AI活用で脆弱性診断はどう変わるのか

従来の脆弱性診断とその課題

これまでの脆弱性診断は、専門家による手動診断や自動スキャンツールを使用したツール診断が中心でした。弊社のように、システムの仕様や脆弱性項目によりツール診断と手動診断のハイブリッド診断を行うベンダーも多くあります。

しかし、以下のような課題も存在しています。

診断に時間とコストがかかる
人的リソースの確保が困難
知見の差による脆弱性診断の結果の違い

    AIによって、次世代の脆弱性診断はどう変化していくのか?

AIによる脆弱性診断は、これまでエンジニアの手作業やツールで行われていた工程を高速かつ広範囲に自動化することで、診断品質の向上と効率化の両方を実現できるのではないかと考えられています。

従来の脆弱性診断ではカバーできなかった微細なリスクや構成ミスも、AIが学習データから推定・指摘することができる可能性もあります。

Webアプリケーション診断におけるAIの活用例

AIによるソースコード自動レビューで、クロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクションなどの脆弱性を検出
フォームやAPIエンドポイントに対する自動入力パターン生成と攻撃シミュレーションによって、より網羅的かつ効率的な検査が可能
従来のツール診断では検出が困難であった、レスポンス内容や認証フローの挙動から、認可不備やセッション管理ミスの検出

プラットフォーム診断におけるAIの活用例

サーバ設定ファイルやミドルウェアのログをAIが解析し、設定ミスや不要ポート開放を検出
クラウド環境(AWS/Azure/GCPなど)におけるIAM権限やセキュリティグループの異常検知
従来のツール診断では検出が困難であった、レスポンス内容や認証フローの挙動から、認可不備やセッション管理ミスの検出

このように、Webアプリケーションとプラットフォームの両脆弱性診断でAIの活用が進むことで、これまで以上に深く・速く・広く脆弱性診断を行うことが可能になるかもしれません。

AIを活用することで、サービスを提供するベンダー側も人的リソースの問題の解決や、実際に脆弱性診断を行うセキュリティエンジニアの環境の改善に繋がる可能性もあります。

AIを活用した脆弱性診断の主なメリットは?

1 スピードと自動化
膨大なコードや設定情報を短時間でスキャンし、大規模なWebアプリケーションでも短期間で診断することが可能になります。
2網羅性の向上と高度な検出
AIが大量のテストパターンや攻撃シナリオを自動生成し、検査を行うことで従来の脆弱性診断より網羅性が向上し、また、従来のツール診断や人の目ではカバーしきれなかった異常系や例外ケースも検出も可能になると言われています。
3.検査精度の向上
過去の脆弱性や攻撃パターンを学習し、文脈に応じてAIによる判断が可能になります。
パターンマッチングだけでなく、高度な挙動分析・相関分析により誤検知の削減も期待されています。
また、過去の診断結果の学習以外にも、AIは継続的に新たな攻撃手法や脆弱性の情報を取込み、常にアップデートされるため検査精度が向上すると言われています。
4.属人化の防止
AIを活用することで、対応するエンジニアの脆弱性診断の経験や、チームのスキル差に依存せず一定品質を確保することが可能になります。
5.脆弱性診断サービスの効率化
一部の工程をAIで代替・補助することで、人的コストや工数を削減することが可能になり、従来の脆弱性診断より短期間で脆弱性診断を完了することが期待されます。
 

AIを活用した脆弱性診断の課題は?

AIを活用した脆弱性診断における課題としては、まず、AIによる自動診断ツールにおいて発生しうる誤検知や検知漏れへの対応、および対象アプリケーションへの適応力の限界が挙げられます。

さらに、既存ツールではなく、独自にAIを用いた高度な脆弱性診断を行う場合には、AIモデルの構築・運用に必要な膨大な学習データの確保と品質管理、そしてAIの出力結果を正しく理解・評価できる専門人材の不足が大きな課題となります。

加えて、AI自体が脆弱性を内包する可能性や、学習データ全体を完全に検証することが現実的ではない点からも、人による多角的かつ継続的な検証が不可欠です。

1. 誤検知や検知漏れへの対応
AI診断ツールが自動で脆弱性を判定する場合、実際には問題のない箇所を誤って検出したり、逆に存在する脆弱性を見逃す可能性があります。診断結果の信頼性を担保するためには、人によるレビューや補完が不可欠であり、結果としてチェックや修正に時間がかかることも課題です。
2.対象アプリケーションへの適応力の限界
複雑な認証やワークフローを持つアプリケーションでは、自動クローリングや入力推論が正しく機能しない場合があり、その結果、特定のアプリケーション構造では診断精度が低下します。そのため、設定の調整や補助的な手動操作が必要となるケースもあります。
3.AIの専門知識を持つエンジニアの不足とコストの問題
AIを活用した高度な脆弱性診断を行う場合、セキュリティとAI両方の専門知識を持つエンジニアが必要になりますが、まだまだその人材が不足している状況です。また、専門家による多角的な検証は高いコストを要します。
4.AIへの不正アクセスや、誤情報の拡散、著作権の侵害など
AIの脆弱性を悪用した攻撃を受け、AIシステムへの不正アクセスにより機密情報が漏洩する可能性があります。また、AIが生成する情報が正確なものであるか確認は必須であり、誤った情報を顧客に提供し混乱をもたらしたり、AIが提出物を作成する際に著作権を侵害したコンテンツを生成する可能性があります。

まとめ

AIを活用した脆弱性診断について、現時点では「AI診断だけでは不十分、人の知見と組み合わせてこそ効果的」であると言えるでしょう。AIによる脆弱性診断は、スピード・自動化・広範な検出力といった大きなメリットがありますが、現時点では“完全にAIに任せる”ことはできません。

AIは学習した多くのパターンをもとに検査を実施するので細かい「疑わしいポイント」を見つけるのは得意ですが、

本当にリスクがあるのか
システムの仕様や他の要素を踏まえてどの程度危険なのか
対象システムによってどの対応方法が最適であるか

といった判断は、人間の経験や状況理解が不可欠です。
そのため、AIの結果をそのまま鵜呑みにせず、必ず専門家によるチェックと補完が必要です。

AIはあくまで「診断を加速・効率化する強力な補助ツール」であり、最終的な診断品質は、人間の知見と組み合わせることで最大限引き出されます。

セキュアイノベーションが提供する脆弱性診断では、ツール診断に加え、高度な資格を持つセキュリティエンジニアが検出結果を確認・分析し、ツールで検出できない項目を手動で診断する「ハイブリッド診断」を提供しています。

これにより、自動化のスピードと人の判断力・正確性を両立し、誤検知や見落としを最小限に抑えた高品質な診断が可能です。

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